Manual Medicine 大場 弘 Blog 

マニュアルメディスン(徒手医学療法)は全身をトータルに捉え身体の連関性を追求する医学です。
ここではマニュアルメディスンによる治療法や、症例などをご紹介していきたいと思います。

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インフルエンザと異常行動
 

タミフルの影響それとも熱のせい?

 

今年(平成23年)もインフルエンザが猛威を奮っているようです。

リレンザの副作用として書いたブログの記事(2009/03/11)も、もうすでに2年前のこととなっていました。

実は、数日前にブログで報告したH君がまたやってきたのです。

2年前にはお母さんより背が低かったのに、今はお母さんを見下ろす感じに、背がずいぶんと伸びています。笑顔もなく、ただスッと立っている様はなにか異様さが漂っていました。顔色もくすんでいて、なんとなく暗い影が覆っているような感じです。

 

お母さんの話では、数日前にインフルエンザと診断されタミフルを処方されたというのですが、一服飲んだだけで気持ち悪さが襲ってきて、2年前のことを思い出し、薬を受け付けないというのです。

熱は?と聴いたのですが、39.1°の熱が出て解熱剤をもらい、翌日の診察時にタミフルが出たそうですが、そのときには熱は下がっていたというのです。インフルエンザの反応が出たということでタミフルが処方されたらしいのですが、はたして必要だったのでしょうか。

 

お母さんの説明では、H君は自分が自分でなくなる不安にとても怯えているようだと言います。中学二年生にもなっているのに、寝るときお母さんに手を握ってもらいと言ったり、普段は父親と距離をとりたがるのに、父親の帰宅を待ち焦がれたりと、とにかく普段の彼ではないとのことでした。我が家の老犬も、調子が悪いときだけ、あぐらをかいた膝の上に上ってきたり、座位の後ろにピタッとくっついたりします。似たような行動なのでしょうか。

 

確かに、H君は精神的な辛さが強いようです。言葉も発しません。何も言わずに私のまえから、フッと離れる突飛な行動に、家でもフッとどこかに行ってしまうような衝動を制することができないようだとも、お母さんが話してくれました。

 

あれこれと神経学的な検査をするのもかなり負担がかかりそうなので、閉眼で立位のバランスを見るだけにしました。左方向へ揺れがかなりあります。頸椎から頭部にかけて歪曲が著しく、第二頸椎を中心に上下でかなり歪んでいます。

 

身体の呼吸を触れながら探っていきますと、心臓にたいへんな重苦しさが伝わってきます。そして、左後頭部も重く、その内部の組織呼吸がかなり低下していることがはっきりと実感できる状態でした。

身体呼吸療法で全身の呼吸運動を回復させ、呼吸をできるだけ通すように努めました。

 

翌日、二回目の治療です。

昨日の治療のときにH君は声には出なかったものの、心臓を握られているような苦しさに襲われていたと、帰宅途中にお母さんに話していました。

状況はほとんど変わっていないようでしたが、両眼はなんとなくしっかりと見つめる感じはあるのですが。

二回目の治療で明らかになったのは、前日の左後頭部の重い感じが、どうも左の上頸神経節(交感神経)に由来しているように集中していることがわかりました。心臓への影響はもちろん、左脳の血液循環へ影響が及んでいたのかも知れません。

二回目の治療では、かなり呼吸が通った感じがしました。終了後帰るときに、笑顔が出ていました。

 

また翌日、続けて三回目の治療にやってきました。

昨日からとにかく眠くて、帰ってからすぐに寝込んで今日も遅くまで寝ていたそうです。

今日は、声が出ています。自分で言葉少なくても、なにかしら要求を伝えてきます。

身体呼吸の触診では、左の後頭部から上部頸椎にかけて内部にテンションがあるようで、左前頭葉内側部にfocalなかたさ(組織呼吸の減退)があるようです。浮き上がっている身体呼吸の変調は右側にもあらわれ、右縦隔から右頭部全体に重さが感じられます。治療は頭蓋の中心部である蝶形骨の弾力的な緩みをつけるために、翼状突起からコンタクトしてリリースをはかりました。

なんか落ち着きがなく“疲れた”とぽつり。今回は続けて治療をしているために、身体も回復するのにそっとしておいて欲しいのかも知れません。

 

 

今日はインフルエンザに罹ってから1週間が過ぎたとのこと、一日空けて四回目の治療です。待合室でパンと一回、手をたたく音が・・・、なにかしら異常な衝動が目立っているような気配です。話をしている間、ふと私の頭に触る行動にでました。どうも変な行動が出ているようです。

お母さんの話では、ぜんぜん良くなっている様子もなく、イライラ感が出てきているとのことでした。電車の中で変な行動が出ないようにと、人との接触を避けてグリーン車でやってきているとのことでした。

治療中、落ち着きがありません。治療中、眼を見開き静かさの中に入ろうとしません。触診では、これまでの身体の異常な緊張帯はなくなっているのですが、右大脳半球の生気がない触感が目立っていました。治療による変化や反応も乏しく、今まで目立たなかった隠れた違和感が右前頭葉に表れている印象です。

一週間を過ぎて、自分を抑制できない不安感から、抑制の効かない衝動的な行動が表出しています。

 

日曜日をはさんで、五回目の治療にやってきました。熱を出してから10日目です。

お母さんの話では、昨日からやっと好転したようです。もとのすっきりした感じでいられる時間がでてきて、先週のいろいろな異常な行動に気恥ずかしい思いを示しているとのことです。本人も照れ笑いをしています。自分がやってしまった行動をすべて覚えているのです。

治療の間は目を閉じて静かさのなかに入っていけています。触診で右の大脳半球も動きがいくぶん荒くはっきりしています。ただ気になるのは、頭蓋底部の動きです。まだ動きが正しくありません。右側に細くスジ状の緊張があり、左側は脳幹に下る方向で重さが感じられます。

頭蓋底部の動きをできるだけ改善する方向で治療をおこないました。

 

翌日、六回目の治療です。

今までうつ伏せになることが苦しいとのことで、仙骨から脊椎にそっての身体呼吸運動を誘導することができないでいたのですが、今日はうつ伏せでもだいじょうぶということで、仙骨から脊柱へと身体呼吸を誘導しました。

次に、仰向けで上部頸椎を調整しました。最初に感じていた異常な歪み感はなくなっていますが、左凸の頸椎彎曲に上部頸椎の不整合をとってみました。

かなり勢いのある身体呼吸運動になっていますので、その勢いで頭蓋底部の右側の線維状の制限をリリースに努めました。

当初から仰向けでみたときの骨盤の回転的な歪みと、それと逆行した両足の向き方がきになっていましたが、骨盤の歪みはなくなっています。ただ、両足が右方向へ向いたかたちが気になります。

ところでお母さんが話すところの彼の状態ですが、これまでの異常行動を家族と話すことがあり、その気恥ずかしさを照れ笑いしているとのこと。自分を制御できない不安感でこれまで布団の中で泣いていたことも、もうなくなっているとのことでした。

でも本調子とは言えず、まだ完全にはすっきりとしてはいないとのことでした。不安定さがあるのでしょう。

 

翌日、七回目の治療です。かなり状況が良くなっているとのことです。本人が、頭がすっきりしている感じが戻ってきたと言います。

背部からの身体呼吸、そして仰向けで頭蓋の動きをみていきました。右の腎臓あたりの身体呼吸が硬かったこと、それにやはり、頭蓋底部の蝶形後頭結合のあたりがボーッとしてクリアな感じではありませんでした。やわらかくしなやかな身体呼吸を誘導し、クリアな動きになるように努めました。

明日から学校へ行ってみることにしたそうです。自信がついてきたようです。

ようやく、もとのH君にもどることができたようです。なによりです。

 

このH君の事例をとおして思ったことは、リレンザやタミフルの服用によって、制御がきかない異常な行動が出てしまう可能性があるということです。

直接、前頭葉へ影響したのか、あるいは電解質バランス、アセチルコリンなどの神経伝達物質バランス異常でおこっているのか、ぜひ解明していただきたいところです。

 

人間の心は対極的な性格が裏表のように分かれているようです。
たとえば、外面(そとづら)が明るく社交的であれば、家庭に帰れば内面(うちづら)の根暗の部分がでて寡黙になってしまう傾向があるようなものです。

おとなしく性格のやさしい子は、意外に激しい面が抑制されていて普段は出てきていないということがあるでしょう。ところがこうした薬やなにかの影響で前頭葉の抑制が弛み、意外な面が表に出てくるということがあるのかも知れません。

 

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コメント
from: ACCカイロオフィス 安藤澄雄   2011/01/22 9:23 PM
 またこの話題で久しぶりに投稿させていただきます。
 今回はインフルエンザ発症後のデータではなく、予防接種後のデータです。
 神経活動値(人体からのミリ波測定値。詳細は『MANUAL MEDICINE』および『Journal of Japanese Society of Clinical Chiropractic』掲載の拙文をご参照下さい)の測定方法に改良を加えて精度を上げ、昨年末からのインフルエンザ予防接種を受けた方々の測定をした結果、以下の測定部位に異常が発生することが分かりました。
1.前頭前野
2.脳幹
3.後頭リンパ節(左)
4.胸腺
 これらの異常は約3週間続き、そして安定します。
 2〜4は風邪やインフルエンザに感染したとき(潜伏期間)にも同様の変化を起こすことから、接種による「感染状態」と考えられます。(本当の感染で発熱するときには視床下部も異常値になる)
 注目すべきは1で、この部分の異常は前回投稿でも書いたとおり、通常は感情の乱れたときに扁桃体部と同時に異常値になるのですが、予防接種では扁桃体には異常は発生しませんでした。しかし予防接種によって前頭前野も不安定になっていることが推測されます。
 なお、最近ALS(筋萎縮性側索硬化症)の方を見ていますが、ALSでは運動野・視床下部・脳幹付近での神経活動値に異常が見られましたが、インフルエンザ予防接種後には運動野付近は正常値でした。
 今シーズンはまだ実際にインフルエンザを発症した方を見ていませんが、もしかしたら発症時や治療薬使用時には運動野にも異常が発生するのではないかと予測しています。
from: 大場 弘   2011/01/24 10:13 AM
貴重なコメントありがとうございます。

安藤先生の計測方法は、人と人とが無意識に感応しあっている何か(ミリ波という表現されていますが)を、脳の各部位に意識的に注意を向けることで、その共鳴度を独特の計測器械でみているわけですが、私の身体呼吸運動を触診する感じ方と共通するベースがありそうです。
安藤先生の指摘された部位とほとんど近似した領域に異常感を感じていました。

毎年このシーズンになりますと、私のこのブログの記事を読んでくださる人たちが大勢いるようです。
なにか役に立つことがあると良いのですが・・・


ところで、生物が環境に対してどのように反応するとか、そうした度合いを測定することで、また新たな地平が拓けるだろうにといつも思っています。
人間の場合でも、もっと主観的な感覚を評価することを考えてゆくべきですね。

from: 比屋根友恵   2011/02/01 5:28 PM
こんにちは。
インフルエンザ後の症例の貴重な体験を教えていただきありがとうございました。
インフルエンザではないですが、先日私も大場先生と同じような体験をしました。

私のバイト先(デイケア)で担当している患者さん(男性84歳)の事例です。

先月13日木曜日、リハビリで担当した時には、左上腕部のスパズムと上位頸椎の固さ、そして身体全体の重さを感じました。上位頸椎に関しては、動かそうとしても動かない。それどころか、動かしてはいけない感じがしたので、身体呼吸を調えて終えました。

その翌日の14日金曜日。その患者さんは体調の違和感を感じ、15日土曜日に精密検査をしたところ、心房細動という診断を受けたそうです。

心房細動の診断後、18日火曜日に担当した時は、頭蓋底から頸部、そして左胸壁にかけて帯状のすごく強い固さがありました。心臓や交感神経?の影響だと思い、あまり大きなことをすると危ないかと思い、リスクを避けつつ、身体呼吸を調えて終了。

そして21日金曜日。この患者さんは、医者から言われたひどい言葉を私に伝えてきました。
それは「男は80を過ぎたら終わり」というもの。
患者さんは、“死”を意識するほどの不安感が襲い、助かりたくて受診・検査をしたのに、そんな心無い石の言葉が辛かったこと、怒りを押さえるのに必死だったと私に沢山伝えてきました。私もこの患者さんが言われた状況や気持ちを考えると、悔しくて泣きそうでしたが、頑張ってこらえて聞いていました。
話を終えた後、まず身体呼吸を感じてみると、すごく穏やかな状態。
先日感じた頭蓋底から左側腹部への固さも殆どなくなっていました。

身体の調子も良くなったのかもしれないし、思いを吐き出したことでほっとしたのかもしれないし・・・。
話す前に触っていないので、感情の影響がどれだけあるのかわかりませんが、自律神経の影響を考えると、全く無いとは言えません。

まだ理論的には説明できませんが、何となく大場先生と同じようなものを感じたのかと思い、コメントしました。
読みにくく、わかりづらい文章で申し訳ありません。


人って本当に、不思議ですね。
あらためて、勉強しよう。そして患者さんの気持ちも大事にしながら身体にふれて、言葉を選んで接していきたいと思いました。


大場先生のブログ、本当に勉強になります。
いつもありがとうございます。
from: 大場 弘   2011/02/01 7:07 PM
比屋根さん、貴重なコメントありがとうございます。

身体と心は一つ。あるいは、根っこは同じということで同源とでも言えるのでしょうね。
その根っこにあるものが、身体の呼吸に深く触れることで、互いに伝わるものがあります。

そして、心がひらいて、患者さんの心の裡にあるものが言葉として表現されると、身体の様子ががらりと変わるわけです。

それにしても、心身を痛めつけるお医者さんの言葉には憤りを感じるのは私だけじゃないでしょうね。

モニターの方を向いてほとんど患者さんを見ない・触れないMDに代わって、直に患者さんに接している皆さんの手の温もりが確実に伝わっています。

そうした臨床の場で、身体呼吸を活かしていただいてありがたく思います。
これからもいろいろとコメントをお願いします。

一月はインフルエンザの影響でしょうか、私のブログを開いてくれた方の回数が8千回以上になっていました。驚きました。
いつもは私の知っている人だけが読んでくれていると思っていますが、意外にも大勢の方々に読んでもらっているようです。
比屋根さんのコメントに心動かされる医療関係者の方も多いことでしょう。

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