Manual Medicine 大場 弘 Blog 

マニュアルメディスン(徒手医学療法)は全身をトータルに捉え身体の連関性を追求する医学です。
ここではマニュアルメディスンによる治療法や、症例などをご紹介していきたいと思います。

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マニュアルメディスン研究会の活動から
 

上部頸椎テクニックの勉強会

 

新春の最初のマニュアルメディスン研究会の活動として、上部頸椎テクニックをとりあげた勉強会を19日におこないました。四国から参加してくれた熱心な先生もおられ、かなり充実した場のエネルギーになっていました。

 

今回の勉強会に、愛知県から北川勇介も参加されるというメールをいただき、それではと、彼にアトラス・オーソゴナル・テクニック(AOT)について紹介していただけないかとお願いしましたところ、私のぶしつけなお願いにも快く申し出を受けていただきました。実際に、臨床でAOTに基づいて治療されている若くて元気のある北川勇介先生のプレゼンテーションはたいへんすばらしいものでした。

 

順序が逆になりましたが最初に、私がカイロプラクティックにおける上部頸椎のテクニックがどのように変貌したかを、実際に映像でお見せすることができました。

インターネットとは本当に便利なものですね。勉強会の前日、「B.J. Palmer, toggle recoil technique」と入れて検索をかけただけで、B.J. Palmerの手技の映像を入手できました。B.J. Palmerは、カイロプラクティックの創始者D.D. Palmerを継いで、カイロプラクティックの発展を導いた第二代目です。彼の記録映像に付随して、上部頸椎テクニックに関連した実に多くのU-tubeの映像があるのには驚きました。

 

最初は、B.J. Palmerが髪を振り乱して脊椎をアジャストしているところの、たいへん貴重な映像を観て、1900年代はじめのカイロプラクティックの雰囲気を味わうことができました。次に選んだ映像は最近の上部頸椎のテクニックです。Dr. Michael Shreeveという先生のデモンストレーションです。側臥位の患者さんの第一頸横突起に静かにコンタクトし、呼吸を合わしたような実に優しい接触でアジャストしている動画です。身体がしなるような激しいB.J. Palmeアジャストから、いつアジャストしたのかわからない微妙なアジャストへの変貌が対比できた映像です。B.J. Palmer自身、彼の上部頸椎toggle recoilもたいへん洗練されたアジャストへと変わっていったわけです。

 

ところで、頸椎に対するカイロプラクティックのアジャストはたいへん危険な行為になり得ます。きちんとした教育を受けていなければ、決してまねすべきではありません。実際に、日本ではかなり重篤の事故が何例か起きていることを身近な人から知らされることがありました。

 

カイロプラクティックにおける上部頸椎のアジャストメント(脊椎調整)は、かなり洗練されたものへと進化してきたわけですが、それがさまざまな流派へと枝分かれしています。B.J. Palmerの上部頸椎toggle recoil、そして上部頸椎の偏位を分析しそのパターンを明らかにしたDr. Grosticが有名ですが、北川勇介先生のお話では、彼らに先んじて上部頸椎に特化したテクニックをおこなっていたA.A.Wernsingという先生もいたそうです。


私が学生の時、
Dr. Pettibonのテクニックセミナーに参加したことがあります。これは上部頸椎と仙腸関節に重点をおいた脊柱全体のテクニックでした。その後、日本に帰ってから、Dr. Roy W. Sweatのアトラス・オーソゴナル・テクニックを知ることができました。

 

オーソゴナルとは直角ということですが、第一頸椎の水平ラインに対して、頭蓋の縦方向の正中ラインと下部頸椎の中心ラインが垂直になるように調整するという意味があります。

Dr. Roy W. Sweatのアトラス・オーソゴナル・テクニック(AOT)の特徴は、三次元的にレントゲン撮影した分析と、精密に計算された角度入射による機械的な振動波を用いたアジャストメントです。北川勇介先生には、このAOTのプレゼンテーションをお願いしたわけです。

 

後頭骨−環椎−軸椎と、この上部頸椎の配列が正中に真っ直ぐになることが理想的なわけですが、実際は前後面でそれぞれが折れ曲がった配列になっています。この折れ曲がりかたを見ますと、基本的な偏位パターンがあらわれます。一つは下部頸椎の傾斜した方向に、頭蓋も傾くタイプですが、これはよくある典型的なパターンのようです。他方、下部頸椎の傾斜と反対方向に頭蓋が折れ曲がるタイプもあるわけです。このタイプは頭の傾きを戻そうとしているようで代償的なパターンに見えるのですが、実際は複雑な状況が絡んでいるそうで非典型的なパターンであると言います。

 

こうしたAOTの基本から、実際の臨床における複雑な状況を平林利夫先生に解説していただきました。平林利夫先生にバトンタッチされ、一気に実際の臨床へとおよんだわけです。彼の実技によるプレゼンテーションには、AOTに携わって25年の体験から生み出された凝縮された知恵となっているわけですから、なかなか一筋縄ではいきません。実技の途中、途中になんとか食い下がって、彼の隠れた知恵を引き出しつつ、理解に努めたわけです。

 

平林利夫先生はアメリカのDr. Sweatのクリニックを訪ね、セミナーと実際に彼の治療を受けたことを契機に、自分にふさわしいオリジナルな方法を考案するにいったと話されていました。と言いますのも、日本ではレントゲン撮影ができないことがあります。Dr. Sweat自身、平林先生を治療したときにはレントゲン分析無しで、触診と自らの経験知によって治療をおこなったというのです。

 

平林利夫先生のオリジナルの詳細はここで紹介できませんが、25年以上も実際にやってこられたなかで生み出された方法であり、なかなか奥深く“極めているなぁ”と感じ入ってしまいました。彼の診断メソッドを機能神経学的に考察してみると、かなり意義深いことがありそうです。

 

勉強会後半は、私が中心となって、平林メソッドを追体験することを参加者全員でおこないました。結構、皆さんしっかりと細かいところを聴いていたようで、詳細に追体験ができました。

 

勉強会終了後に理学療法の先生達に感想を聞きました。「あの勉強会の場では分かったが、実際に一人でやってみる段になると分からなくなってしまうであろう」という感想でした。そうだとしたら、たいへんもったいないことです。2月第三日曜の月例勉強会で、また復習と臨床の追体験をやってみたいと思います。会場にはまた、きゅりあん(大井町駅前)を予約しておきます。時間については変則的ですので、ご関心のある先生方は、ぜひ事務局(03-3254-8198)までお問い合わせください。今回参加できなかった方にも分かるように要点をまとめて復習しましょう。

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コメント
from: 木村 功   2011/01/13 12:08 PM
大場先生

9日は、大変勉強になりました。

30年近く前に塩川スクールでターグルを習いましたが、けっこう使ってきました。

AOではなく、ターグルに関しての私の個人的な見解は、システムの破壊です。

生体における運動情報処理システムにおいて、上部頸椎は特異点として存在していると思います。

要するに脊柱構造において上部頸椎のみ、全く異なった形態・機能を有しています。

また、後頭下筋群は固有受容器が非常に多く、構造的にもジャイロ機能を有していると思います。


運動情報処理システムから付随する生理システム、神経システム全体をイネイトシステムとすると、
これは人体の生理や神経処理を優先するのではなく、環境に対する生体の運動追従能力を生体システムの
根幹とする考え方になるワケですが、このシステムに固着が生じるとシステムの追従性が低下します。

ターグルによるアジャストは、このシステムを破壊すると考えています。

これにより、即座にイネイトはシステムを再構築するわけですが、この再構築の間に身体呼吸的な問題を是正する方向で働きかけると、システムの再構築が最適化されるように思われます。

簡単に言えば、ターグルでシステムを破壊し、イネイトがシステムを再構築するときに身体呼吸でシステムの再構築に方向性を与えると言う感じでしょうか。

手技的には、アジャストの後のレストの間、リズムのバランスを安定させると言う感じですので、大して難しくはありません。

私のターグルの使い方は、こんな感じですが、例えば、ターグルのアジャストを右にするか、左にするかという決定に関して神経学の刺激を入れる方向で決定してもよいように思います。

ターグルでは、おなじリスティング以外アジャストしないとか、いつ再アジャストするかなどの決定も神経学で決められるような気がします。

また、リスティングの決定を眼球運動で確認すると言うこともできそうですし、アジャスト前後の効果の判定にも使えそうです。

考えてみると、身体呼吸と神経学はターグルと相性がいいような気がしました。

また、今後ともご指導ください。


木村
from: 大場 弘   2011/01/13 2:52 PM
哲学と思想に造詣の深い木村先生に来ていただき光栄でした。
病院のなんでも屋さんとおっしゃっていた木村先生が、上部頸椎のターゴ・リコイルまでやっていたなんて驚きでもありました。

北川勇介先生や平林利夫先生のプレゼンテーションがかなり充実していましたので、例年になくたいへんすばらしい勉強会になりました。
こうしたマニュアルメディスンの活動が続けられるといいのですが。

ところで、木村先生には勉強会の感想をいただきましてたいへん嬉しいかぎりです。
上部頸椎へのリコイル式のアジャストが“情報処理システムの破壊”という言い方はとても過激な表現ですね。
でも、その意味されているところはよくわかります。
複雑系のシステムのパターン化した周回軌道(“環境に対する生体の運動追従能力”)を一時的に揺さぶりを与えて、パターンをリセットするということですね。新たに現れるアトラクターのまわりで周回するパターン形成がアジャスメントということですね。
なんだか、木村先生が学会にお呼びした河本英夫先生のことを思い出しました。

Dr.Carrickの来日セミナーの折に話された眼球運動のピッチ・ヨー・ロールが引き金になり、姿勢や歩行の動きにこの概念を導入して見直していました。その一つが上部頸椎の動きでもあるのですが、平林利夫先生のおかげで、また一つ明確にその仕組みが洞察されきました。
勉強会とはこのような創造につながる機会であるべきですね。

理学療法の先生方が多く集まってくれましたが、詳細が分からなくとも、徒手療法の世界を垣間見て大きな刺激になっただろうと思います。
彼らの頭脳に揺さぶりが起きたかも知れません。
またこのような勉強会ができるよう、こんどは木村先生にもプレゼンテーションをお願いいたします。

大場
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