Manual Medicine 大場 弘 Blog 

マニュアルメディスン(徒手医学療法)は全身をトータルに捉え身体の連関性を追求する医学です。
ここではマニュアルメディスンによる治療法や、症例などをご紹介していきたいと思います。

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眼球運動で変わる身体と心 
 

 閃きがもたらした眼球運動の表と裏

 

昨年の暮れ、カイロプラクティック神経学の第一人者であるDr. Carrickの来日講演がありました。眼球運動によって、不随意運動であるディスキネジアなどがものの見事に改善させられる彼の治療を見せられ驚かされました。

 

それ以来、眼球運動に関わることをいろいろと見直してきています。その一つのテーマに「眼球運動と姿勢制御」と題して、マニュアルメディスン研究会誌で連載のかたちで考察してきています。専門的なことはMM会誌で読んでもらいたいのですが、ここでは話題をひろげて、眼球運動と身体ひいては心までおしひろげて思いつくままに書き綴ってゆこうと思っています。

 

通勤の電車の中ではいろいろと閃くことがあります。

眼球運動とバランスを司る前庭系のことで、MM誌の原稿にしていたためでしょうか、骨盤帯とのバランス関係を揺れる電車の中で、眼球を動かしその動きの滑らかさを体感的に探っていました。開眼で眼球を動かすときと、閉眼で眼球を心の中で動かす違いを感じとってみたのです。

そこから閃いたことがあり、即興的に臨床で試してみることにしました。

 

先ず、眼球運動を直に観察してみます。私の指を患者さんの目の前で動かしてみて、眼球の円滑な動きを観察し、どの方向で動きがスムーズに運ばないかを見て取ります。

次ぎに、患者さんにもその動きを実感してもらうために、眼を閉じさせて、自分の気持ちで眼球を動かしてもらうのです。そうしますと、眼球をスムーズに動かせない抵抗感のようなものを、患者さんに感じてもらえるわけです。スムーズに動かしたいのだけど、ある方向でうまく動かしにくいといった感じが理解してもらえます。これで検者の他覚的な観察と、患者さんの自覚的な感覚で、眼球の滑動性を共有することができます。

 

最初の患者さんは年配の方でした。指を追いかける滑動性の眼球追跡運動を上下で観察してみました。たしか、眼球を下方に動かすときに滑動性が欠けているように見うけられました。次ぎに眼球を時計回り・反時計回りに大きくぎょろりと回転させて見ましたが、左上方(2時)方向でスムーズさが欠けます。

 

それではと眼を閉じさせて、自分の意思で眼球を同じように動かしてもらい、その感じを聴いてみました。

上下運動させたときの動きの範囲が狭まっていると、とても臨床的に意味深いこたえが返ってきました。それでは先ほどの2時方向の動きはどうですかと聴いてみますと、やはり自分ではっきり動かしにくさを感じると言います。

 

なにか心のなかで気になっていることがありそうです。そうしますと、同窓会の会場をこれから見に行くことがあって、さっきからそれが気になっているというのです。

 

やはり、眼球運動によって患者さんとの接点が生まれる!、と思ったわけです。

 

 

次ぎに、若い大学生の患者さんです。たまに忘れた頃ですが、口内炎ができたのでとやってくる声楽を学んでいる学生さんです。胸郭がとても硬くなり、背部の歪みが特徴的です。これまで何回か、身体呼吸療法ですぐに良くなっていると言います。

 

今回は眼球運動を見ていろいろと探ってみようと思いました。

同じように眼球運動を観察させてもらいました。そして次ぎに閉眼で眼球の動きを自ら感じてもらい、治療前の感触を覚えておいてもらいました。

 

他覚的に観察できる眼球運動は、私なりの上部頸椎の調整でクリアになりました。ところが閉眼で自分の意思で眼球運動くり返してもらうと、治療の前と変わりがないと言います。

 

“からだが何かすっきりしていないんだろうね。この口内炎も何か訴えているんだろうね”とつぶやきながら、患者さんの反応をみてみました。納得しているような雰囲気ですが、自分で答えがみつからないようです。

 

頭に触れながら身体呼吸を感じている私には、なにかしら左上腹部の奥に緊張感が浮き上がってくるのが感じられます。

 

“声楽も楽しくやっているのでしょうけど、何かストレスになることもあるのかな?”と話しかけてみました。

声楽ではなく、アルバイトでストレスになっていることがあると言います。

 

“どうしたら口内炎を出すことなく、からだがうまくストレスを和らげてくれるだろうか?”とつぶやきながら反応を待っていますと、“睡眠だと思う”と自らの問題点を言葉に出してくれました。

“そうだよね、睡眠は最良の薬になり得るよね”と応えて、もう一度、閉眼で眼球運動をくり返してもらいました。今度は動きが驚くほどすっきりしていると言います。口内炎解消の答えはそこにありそうだねと言いますと、すっきりとした表情になっていました。

 

 

次の患者さんは難解です。

なかなか腰痛が改善してこない患者さんです。

足やお腹に触れているだけで、腰の痛みが再現されてきます。

それでいて動きは敏速です。急に動き出す前に動くということを頭に一拍子おいてから動き出すこともだいじですと言っているのですが、動きで痛みが出るというわけでもありません。

 

でも痛くなるとかなり辛いようで、何日か寝込むほどだそうです。

 

階段で尻もちをついたり、交通事故にあったりといろいろと外傷があったようです。

痛みの発症は、激しくダンスをやっているときに出た痛みを我慢して続けていたこと、痛くても仕事に出て行かなければならず、我慢に我慢を重ねていたことから悪化したとのことです。

 

この患者さん、神経系や筋膜に外傷的な記憶のような痕跡がのこっているのでしょう。これをどのように解消できるか、眼球運動でなにか有効な手段を提供してくれるかどうか考えてみたのです。

 

足に軽い圧を加えるだけで腰に耐えられない痛みが再現されてくる、この不都合な反応をいかに抑制できるか・・

 

先ず開眼時の眼球の動きを改善し、次ぎに不都合な痛みの反応を再現させた後に、閉眼時の眼球運動の不自然さを改善する手順で治療してみました。

即興的な閃きを頼りにやってみたのですが、これ以上、閃きが生まれてきません。

 

とにかく難しいケースは、とても一筋縄ではいかないことは承知のうえですが・・・、(1週間後)

 痛みの現れ方が変わっていました。私なりの方法で脱感作が少し効いたようです。治療の進め方に可能性が拡がってきました。 


 

また新しい患者さんですが、 

生後間もない若い母親が、寝違いで起こして、頸筋が痛いとやってきました。

眼球運動でどれだけ急性的な症状が改善するか興味がわいてきました。

症状の状況を把握し、早速、眼球運動の改善をやってみました。

結果は、あまり満足ゆくほどには痛みの改善にはつながりませんでした。その後、身体呼吸療法を施し、ほぼ症状を解消させました。

 

やはり眼球運動だけでは、こうしたケースでは治療にはならないかも知れません。寝違いや急性腰痛症は、その筋肉に神経支配が及んでいる交感神経のリズムに問題があります。交感神経活動に呼吸リズムの揺らぎが含まれていますが、これが減退することで筋肉の攣縮が起こるのであろうと、私なりの仮説をたてています。


眼球運動によるアプローチも、身体呼吸療法のなかにとりいれてこそ、その効力がさらに発揮されるような気がします。

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コメント
from: コダマ   2010/10/09 11:34 AM
記事拝見させていただきました。興味深い内容です
EFTのセッションでも眼球運動をさせます。
眼球運動を利用するカウンセリングもあります。
心との関係がどういうふうにあるのだろうか?

もやもやしている問題点が浮かびやすくなる
改善策が自分で出しやすくなる

こんな感じは臨床ではあります
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