Manual Medicine 大場 弘 Blog 

マニュアルメディスン(徒手医学療法)は全身をトータルに捉え身体の連関性を追求する医学です。
ここではマニュアルメディスンによる治療法や、症例などをご紹介していきたいと思います。

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機能神経学(カイロプラクティック神経学)

Dr.
カーリック来日講演

Dr. Carrick 来日講演(写真提供: 伊藤彰洋 DC)
 

200912月1日、カイロプラクティック神経学の大御所であるFrederic R. Carrick先生が初めて来日され東京で講演会を開きました。この講演会に参加できた先生方はたいへん幸運であったのではないでしょうか。

 

Frederic R. Carrick先生は、投薬や手術ではなく徒手的な方法だけで神経学的な難病を緩解させていくことを可能にする機能神経学を樹立している天才的なドクターなのです。今回の講演では、ディストニアやディスキネジアなどの異常姿勢や不随意的な異常運動を、ある方向の眼球運動を処方するだけで改善させていくという現実を観ることができたのです。

 

脳はうまく活性化させられることで、障害を乗り越える新しいストラテジーを創発していくことができることを実証してくれているわけですが、それが短期間にしかも驚くほど効果的に回復をもたらすことができるとなると、世界中を探しても、Frederic R. Carrick先生の右に出る先生はいないでしょう。

 

医学は長い年月をかけて多くの研究者が地道な研究成果を積み重ねて進歩してきていますが、概して、先輩達がつくってきたレールをさらに繋ぎ足しているということかも知れません。カイロプラクティックにおいては、こうした研究の積み重ねとなると、現代医学とは雲泥の差と言わざるを得ません。ほとんど現代医学の軒下を借りています。ただ、カイロプラクティックではまったく独創的に、現代医学にはない奇想天外な発想からたいへん優れた治療技術が生まれているとも言えます。Dr. Carrickの神経学はまさに今日のカイロプラクティック界にとっては革命的な飛躍と言えるでしょう。

 

Dr. Carrickは昏睡状態にある患者さんを数多く回復させてきたことで有名になりましたが、今では世界各地で神経外科医が観ているところで施術し、彼らを驚嘆させています。今回の日本での講演会には医師の方がいたのかどうかわかりませんが、ぜひ医療に携わる方々に知ってもらいたいという気持ちでいっぱいです。私にできることと言えば、先ず理学療法士や作業療法士のみなさんにこの機能神経学を伝えてあげられたらと思っています。

 Dr. Carrickと筆者

私自身、Dr. Carrickの神経学を、医師でしかも数々のカイロプラクティックの認定資格を取っているDr. Soung Won Lee先生に師事して5年間にわたってソウルで勉強してきた経緯があり、日本人でカイロプラクティック神経学専門の認定を受けた一人ですが、気持ちをあらたに真摯に取り組まなければと思ったしだいです。

 

これまで私自身の方法論で、身体呼吸療法によって脳の循環を良くしたり、身体バランスをとって脳にきちんとした刺激が入るようにとやってきました。それでなんとか機能神経学できることをカバーしてきたという想い(思い上がり)もあったのですが、やはり脳の血管疾患やニューロン変性などで障害を受けてしまった患者さんでは、きちんとした検査評価によって適切な刺激伝達が必要であることを痛感してしまいます。

 

感覚刺激によるニューロンを通じての脳の賦活というDr. Carrickの方法論をきちんともう一度臨床で見直さなければと思っています。もちろんこの方法論に適した患者さんということでもありますが、それは脳血管障害の後遺症の方とか、大脳基底核や小脳などの神経病をかかえている患者さんで、Dr. Carrickの方法論に則って機能神経学的なアプローチをうまく活かすことができるだろうと思います。一般の患者さんで、やみくもにこの方法論を押しつけるような検査から検査では、患者さんの余計な負担になってしまうことにもなりかねません。

 

こうしたことがわかっていても、興味本位な研究心と言いましょうか好奇心と言いましょうか、なかなか抑えられないところがあり、今しばらくは施術者の興味本位と試行錯誤から患者さんに負担をかけてしまうかも知れません。患者さんに多少の負担をかけてしまうことの代償に、なんとかきちんとした技術なり洞察力を早いうちに身につけたいものです。

 

私たちが臨床でみている不定愁訴を訴える一般の患者さんでは、意識的あるいは無意識的な反応が強く反映してあらわれるために、純粋に神経反射的な反応をその中から見いだす(引き出す)ことは難しいために、神経反射的な反応を診て判断するDr. Carrickの方法論を会得することはかなりたいへんです。例えば、前庭眼球反射では頭が左後方回転すれば、眼球は右方向に向きます。眼球の動きと頭の動きは反射的には反対なのですが、意識的に片側を見ようとすれば眼も頭も同じ方向を向くわけです。検査する施術者はフッと頭を振って、眼の反射的な反対方向の瞬間的な動きを観察しなければなりませんが、このような反射的な素早い動きを捕らえて左右比較するとなると結構むずかしいことです。Dr. Carrickの神経検査ではこのような微妙な反射をとらえなければならないのです。無いと思えば、そうした反応は無いに等しいものです。

 

まさに奇跡的な治療をなんなく行っているDr. Carrickの治療技術とは、はたして我々にできることなのでしょうか。ひょっとしたら彼しかできないことなのかもと思ってしまいます。そうだとすると、誰がやっても同じような結果をもたらすという医療のあり方とは異なってしまうのですが。彼には特別な感性があるだろうと前々から思っていました。脳のさまざまな部位をまるで透視してしまうようなそんな不思議な感性です。今回の講義には数百もの最近の医科学論文を根拠にして準備されたと話しておりました。こうした特別な感性はさまざまな努力によって培われることでもあるのでしょう。

 

講義で紹介された論文それぞれがとても興味深く、それらを理解していくためにはかなりの時間が必要なようです。今回、聴講された先生方が検査の形だけわかって治療現場で試してみても、きっとすぐにギブアップしてしまうかも知れません。臨床の現場ではどんな反応が出るか、きわめて多様性に満ちあふれているからです。即興的なひらめきと判断が必要とされます。そのために基本的な仕組みやメカニズムを知らなければなりませんが、こうした数多くの資料や論文を勉強していなければ身に付かないことでしょう。機能神経学を学んでいくことは、とにかく根気が必要です。機能神経学に魅せられ、ひょっとしたら自分しかなおせない患者さんに一人でも出会えるようにと励んでいきたいものです。このことがDr. Carrickの機能神経学を追体験し、彼のみている真実を確認する手段かと思えるのです。

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コメント
from: 小林昌彦   2013/01/04 10:59 AM
こんにちは。増田先生のカーリック神経学に参加させていただいてました岐阜の小林と申します。
当時、私の履修時間が300時間にわずか足りなかったため、その後2回渡豪し、Dr.Paulのカーリック神経学を受講しなんとかクリアしました。
ニュージーランドにも数回お邪魔してカーリック神経学を取り入れたばかりのNZCCでも受講しまして、その際NZCCに講演にいらっしゃったDr.カーリックともお会いできました。
もちろん治療院は続けておりますが、学会関係はこの8年ほど一切出ておりませんでしたので、大場先生のブログで数年前のDr.カーリック来日を知りました。
今後、カーリック先生の来日予定などありましたら、是非教えていただけますでしょうか?
またしばらく離れておりましたがDACNBにも再挑戦したいので、カーリック神経学の現状など教えていただければ幸いです。
お手数ですが、よろしくお願いいたします。

小林昌彦BCSc.
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