Manual Medicine 大場 弘 Blog 

マニュアルメディスン(徒手医学療法)は全身をトータルに捉え身体の連関性を追求する医学です。
ここではマニュアルメディスンによる治療法や、症例などをご紹介していきたいと思います。

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気象病2
 

気圧の変化

 


身体呼吸療法からの考察

 

温度計・気圧計・湿度計が一緒になった計測器を購入して毎日天気をみていたのですが、恥ずかしいながら高気圧・低気圧の意味がよく分かっていなかったために、晴れているのどうして1000ヘクトパスカル(ミリバール)以下の時があるかと疑問に思うことがたびたびでした。晴れの日は気圧が高いはずだから1000Pa以下になることはないだろうと思ったり、雨の日には1013hPaもあったりするものですから、この器械だいじょうぶなのと不安に思ってしまったわけです。

 

気象の本を読み始めて、高気圧と低気圧は相対的な関係で、山と谷のようなものであることがわかり、山で2千メートルの高さの山もあれば1千メートルの山もあるわけで、晴れていても1000Pa以下の場合もあることが分かったのです。高気圧とは周囲よりも気圧が高いところで、相対的に低いところは低気圧となるわけです。

 

ところで、“お天気が崩れるときに具合が悪くなる”と訴える患者さんは少なくありません。ここから遠く離れた九州に台風が近づいてくるだけで身体の不調が出ると訴えていた方もいました。天気が崩れる前の気圧変化に敏感に身体が反応しているようなのです。どうしてなんだろうかといつも疑問に思っていたのです。

 

どうしてなんでしょうか・・・

気圧の変化は生理的にどんな影響をおよぼすのでしょうか、今回はこのことを考えてみました。

 

先ず、気圧の変化とはどうゆうことなのかはっきりしておかなければなりません。

気圧とは空気の重さであると言います。空気にも重さがあるのです。学校の自由研究の良いテーマになりそうですが。

1気圧(1013hPa)とは、1平方センチメートルあたり1Kgもの空気の重さがかかっているということです。全身にしてみたら相当の空気の圧力がかかっているわけです。

 

この外からの空気の圧力に負けないで、身体の内部から押し返している力があることになります。身体内部ではこうして外圧と均衡をとるように内部の圧力バランスをはかっていることになるのでしょう。気圧が急激に変化する状況では、身体のほうも、バランス調整に大わらわなのかも知れません。

 

たいてい気圧が急激に低下するときに不定愁訴があらわれるようですが、このとき内部圧が相対的に高くなっていると思います。内部圧が高まっているところでは部分的に循環が悪くなっていることが想像できます。もともと関節が変形していて持病の関節痛のある患者さんでは、腫れもひどくなるでしょうし、血行の悪いところにまたさらに循環が損なわれることになります。

 

内部の圧力がどのように調節されているのか疑問として浮かび上がってきますが、生理学のテキストを見てもこうしたしくみは書かれていないようです。実際の臨床を通して考えてみました。あくまでも想像ですが・・・

 

20年前に私の治療を受けていたという方が電話をくださいました。当時、お子さんができなくて、それもあって治療にいらしていたようなのですが、幸いにもお子さんができて、その子も大学生になっているとのことでした。この大学生の男の子が首や腰の痛みを訴えているというので診てほしいと言うのです。

 

身体にどこか問題があると、その子の学業や生活態度にきわめて深刻な影響を与えることがあります。その子の将来に影響することですので、喜んで診させてもらうことにしました。聴きますと、危うく頭をひかれるような交通事故に遭ってから、いろいろと障害がでてきたとのことでした。天気が崩れるときに、首や肩、腰の筋肉が張って、つらい痛みになると言います。

 

この大学生を身体呼吸療法で何回か治療していますが、治療の翌日、筋肉痛がつらいと言います。身体呼吸療法はハラ呼吸を誘導して、その内圧によって自然のままに調整していく技法ですが、決して激しい負荷をかけているわけではないので、こうした事例が出ると興味深いのです。

この大学生は治療の間、大脳皮質が醒めて眠りに入るのが嫌なようで、仰向けになっても目をキョロキョロと、静けさの中に身を沈めることができないでいます。こうしたタイプの人は、なかなか良くなりません。静かな治療を受け容れてくれないような印象さえ持ってしまうこともあります。

 

今回も、治療の間、右肩がますます膨張してくるような緊張感が高まってきます。たいてい、こうした緊張が高まると、ググッと筋肉の線維が動き出して、なにかが通っていくような感じを持ちますので、ちょっと我慢をしてもらうことがあります。それでもなかなか通らないこともあり、いろいろと技法を変えなくてはいけないこともあります。この大学生の場合には、高まった緊張をどこかバランスをとって逃がすことができればと、左半身で未だ現れない虚したスジを意識で探りました。そうしているうちに触覚的にみえてくるものがあります。緊張したライン(実のライン)と、ようやく現れてきた虚のラインを結びつけることで、変化が起きていきます。新たな展開が拓けます。

 

身体呼吸を促すことで膨張するような緊張の高まりがみられるということは、内圧が高まっていることのように思えます。筋肉の血管系が充血していくような圧力の高まりでしょうか、それとも筋組織そのもの収縮による緊張なのでしょうか、すなわちトーンが増していることなのでしょうか・・。

 

タイトになって縮んだ筋肉が緩むとき、筋組織に呼吸リズムが入ってきます。筋肉には呼吸リズムに同調する神経的な活動性がベースにあるような印象を持っていますので、この活動リズムの喪失はきわめてやっかいな問題であるように思っています。大脳皮質の過剰な緊張がこうした活動リズムを抑制してしまっているのではないかと、かねてから考えていました。身体呼吸リズムの回復こそが、私の治療の生命線だと考えているのです。

 

この大学生を通して考えたことは、筋組織の内圧の高まりやすさが、外部の気圧の変化に伴って症状をもたらしているように思えたのです。自律神経の循環調節に起因するのか、それとも充血と筋組織の緊張亢進に起因するのかということになるのではと思うのですが・・・。

 

こうした問題を考えているときに、参考になる患者さんがいらしてくれました。

30代男性カメラマンの方ですが、この方は、数年に一二度、いつも忘れたころにやってきます。神経質な印象を持つ方で、身体呼吸療法の静かさの中に身を沈めることがやはりできないタイプの方です。いつも一生懸命に身体呼吸リズムの回復をめざして治療するのですが、一二度来てはすぐに来なくなりますので良くなってくれたのかどうかといつも気になってしまう方です。

今回は、左手(親指と人差し指)にしびれがあるというのです。頸椎症の印象を持ちました。左手のしびれがつらそうで、そうそう静けさの中に身をゆだねるような雰囲気ではなかったので、頸部から左手にかけて虚したラインを見いだし、せめてそのラインだけでも身体呼吸リズムを引き出してみようと座位で治療を始めてみました。途中、軽いリズムが出てきて良いなと思いつつ、しばらくすると今度は息苦しい膨張感が支配的になったりと、本人の訴えるしびれもOn-Offを繰り返すように消えてはまた出てきていました。どうも自律神経が安定してくれないようで、左腕から肩にかけて膨張する部位が移り変わっていくような印象を持ちます。これが自律神経失調の一つの様相なのかとも思わずにいられません。

歪んだ脊柱を上方に瞬間的にストレッチさせて調整して今回の治療は終了しました。いつも治療の後には症状が消えるのだが、どうも今回はうまく消えないと不満のようでした。いつも気になっていたことでしたが、こうした緊張の強い人でも以前はすぐに良くなっていることがあったんだと、今回の彼の不満によってはじめて知ることになりました。

2回目の治療ではオーソドックスなかたちで、うつ伏せから身体呼吸を誘導してリラックスした状態へと導きました。しびれがあってカメラを手でホールドして撮れなかったと言っていましたが、身体呼吸リズムがそれなりに出てくるようになっていましたので、うつ伏せではスムーズに誘導が運びました。特に頸髄神経の吸気における求心的な吸い込みの内圧変動がうまく誘導できました。

次に仰向けになってなってもらいました。腕が伸ばされた姿勢になったためか、前頸部でスジが切れそうな痛みが出て、しびれがまた出てきたと言います。頸椎5番周辺の筋線維のモータユニットが異常な張りを持っているようです。過敏点をみつけその圧痛が消える方向に、筋線維に縮めるように頭頸部の位置を決めて、呼吸リズムをその部位に誘導する技法をとりました。しびれも消えたようで、今回はこれで様子をみてもらうことにしました。

 

この緊張の強いカメラマンの事例で参考になったことは、自律神経の失調に関わる要因として、頸椎症に付随した筋膜の損傷部位と異常な筋線維の緊張があったことです。頸椎症はいわば老化のような頸椎部での変形に伴う椎間孔を出入りする循環障害が考えられます。

 

新潟大学大学院教授の安保徹先生によれば、交感神経の過緊張は白血球のなかの顆粒球が増えて、活性酸素によって老化した細胞を洗い流すような炎症作用が生じるということです。こうしたことが痛みや筋膜の炎症をもたらしているのでしょう。それに亢進した交感神経の反動として、副交感神経が亢進すると静脈の鬱血と圧力がさらに神経組織周辺に影響をもたらします。こうしたときに、急激な気圧の変化があると、ますます部分的な内部圧が高まり、痛みやしびれをもたらすことになるのではないかと考えてみたわけです。

 

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