Manual Medicine 大場 弘 Blog 

マニュアルメディスン(徒手医学療法)は全身をトータルに捉え身体の連関性を追求する医学です。
ここではマニュアルメディスンによる治療法や、症例などをご紹介していきたいと思います。

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感染性心臓内膜炎とは知らず


浅尾美和に似た30代のきれいな患者さんがいらっしゃいます。
頸が痛かったりすると、ときどき訪ねてきます。

朝、電話がありました。去年の暮れに治療をしたのですが、あれから入院していたというのです。夕刻に治療に来てもらうことにして、詳しく訊いてみることにしました。

大きなマスクをしてやってきました。

昨年の暮れに治療をしたときにも大きなマスクをかけたままで、なにかつらそうな感じで少しやつれぎみだったことを思い出しました。確か、微熱があって・・・でもどこが具合悪かったのかは思い出せません。

先生に心臓がおかしいようだと言われましたと、彼女のほうから教えてくれました。あの後、胸の苦しい感じがどうしてもなくならなかったので病院に行ったら、エコーで心臓の弁膜になにかできているということがわかり、そのまま絶対安静で入院させられていたというのです。

そこまで深刻な問題があったとは・・、まったく認識できなかったのです。
心臓がおかしいと言っただけで済ましてしまったことに、プロとして恥ずかしく、情けない気持ちです。病院で調べてみてと、どうして積極的に言わなかったのか・・
自分のやっていることに対しての自己評価の低さがあるからかも知れません。

発熱・・、心臓の弁膜・・
乏しい内科的な知識から、感染性の弁膜症がふと浮かんできます。

彼女の話によりますと、細菌感染から心臓の弁膜に病巣ができていたと教えてくれました。
感染性心内膜炎ということになるのでしょう。20〜40才代の比較的若い人に多いようです。これは、抜歯や扁桃摘出などの各種の手術やカテーテルによる細菌感染とか、緑色連鎖球菌や黄色ぶどう球菌などの感染症から血液に入った細菌が心内膜(弁膜)に感染して炎症を起こす病気です。

弁膜に異常をきたしますと、恐いのは、血栓ができてしまって脳梗塞になってしまうことです。

彼女も、とても不安な想いをしているようで、退院してからまた訪ねてきたしだいでした。
座位になっている彼女を後ろから触れてみていきますと、第2肋骨あたりキュッと痛みを感じるような過敏帯があるのがすぐにわかります。実際にその部分を触れると、浮腫感があり過敏になっています。第2−3肋骨が左右たがい違いに前後に歪んでいるのも触診できます。

病院ではこうした異常について誰も教えてくれないために、不安がますます大きくなってきていたと、彼女の胸のうちを話してくれました。

深部の様子を、身体呼吸を通して観察していますと、心臓を包んでいる心嚢から頸部の斜角筋に線維性の緊張感が延びています。喉からはほぼ中央にも、下方にのびる膜系の緊張感があります。

心臓の動きがこうした膜系の緊張から制約されていて、胸が苦しくなるのでしょう。仰向けで身体呼吸運動を誘発して膜系の緊張をリリースすることにしました。

身体呼吸が深まるにつれて、胸郭全体の歪みや柔軟性の喪失感が浮き上がってきます。そうした動きの硬いところに手指がいくと、彼女自身そうしたところに痛みを前から感じていて、どうして痛いのか、心臓がまだ治っていないのではと・・、ますます不安が高まっていたというのです。

前頸部の斜角筋とその筋膜などの軟部組織の緊張をリリースしていると、下肢の方向に延びる膜系の緊張も浮き上がってきます。

突然、両足がしびれてきたと足の指先を動かし始めました。
両手の小指側にもよくしびれが出ていたと言います。

どうしてですか? ますます不安にかられてしまっているようです。

どうしてだろう? 乏しい医学的な知識に頼ってもわからないし・・
酸素飽和濃度と脈拍をみることができる検査器具を指先につけてモニターしてみました。
酸素飽和濃度98、脈拍64、不整脈なし
心肺機能はまったく健全です。

このときフッと感じたことは、風が騒ぐように身体のとこどころで組織の実質が締まるような波状的な動きがありました。
自律神経の影響で末梢の血管が緊張したのかも知れないと思ったのです。

自律神経の変調が起きたのでしょう。彼女の実感と合っていたようで、納得したような感じです。

肩甲間部の背部の硬さが浮き上がってきました。
両手を背部にまわして、背部から肋骨の歪みと筋緊張をリリースしました。かなり身体呼吸が深まり、胸郭の歪みが自発的に改善していくような感じが出てきました。

頭蓋に触れて、脳の様子を観察し始めました。右側頭葉とその深部に重い感じがひろがっています。透明な身体呼吸をもってその部分が軽くなっていくと、こんどは左前頭葉に重い感じが表れてきました。しばらくして頭蓋の中心から身体呼吸が始まり、呼吸が外に開いたような気配を感じた瞬間、涙が眼からこぼれていきました。

下腹部の身体呼吸と頭蓋内の律動性を同調誘発させて、施術を終了です。
施術の間、身体の様子を伝え、同時に彼女自身もそれを感じ取れたおかげで、不安感はかなり軽減されていくような気がします。

身体の呼吸と一言で言っても、全身の連関した波状的な伝播、筋骨格系が歯車のようにたがいに噛み合いながら動きを連鎖し合うメカニズム、内臓の平滑筋がリズミカルに膨張収縮する律動性、組織実質にひろがっていく圧変動の律動性・・、透明な気のひろがりなど実にさまざまな様相が立ち現れてきます。

この世界に浸れば浸るほど、不思議な感覚の世界が奥深くひろがっていくようです。
医学的な知識とうまくかみ合っていかねばと切実に思ってしまいます。


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コメント
from: 暇人   2014/04/23 10:19 PM
感染性心内膜炎の典型的な症状を見落とすなんて医学生4年目以下の知識ですね。

こんな知識量でどんな講義をされるのか楽しみですね。


セミナーをぜひ受けたくなりますね。

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