Manual Medicine 大場 弘 Blog 

マニュアルメディスン(徒手医学療法)は全身をトータルに捉え身体の連関性を追求する医学です。
ここではマニュアルメディスンによる治療法や、症例などをご紹介していきたいと思います。

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能楽師 山村庸子先生に学ぶ その二
息の遣い方

理学療法士で最初にマニュアルメディスンの世界に飛びこんでこられた山本尚司先生と、身体呼吸療法の四天王の一人、伊那市の伊澤勝典先生を誘って、山村庸子先生の声の道場に参加してきました。両先生ともとても感動され、山本尚司先生は即刻ブログ(運動連鎖アプローチ研究所http://rensa.blog43.fc2.com/でその感動を伝えていました。かなり正確に山村庸子先生のお話を理解されていて、さすがに一門を率いる大先生になったのだなあと感心しました。

今回は、山村庸子先生に指導していただいた息の遣い方について、私なりの理解から書いてみます。しかし実際は一人ひとりご自分で体験して、身体感覚でつかまえないといけないわけですが・・・。

山村庸子先生のお話では、息を遣うためには、気道がまっすぐとなるように、頭の付け根を頸椎にきちんと押し当てるように、顎を引く必要があると言います。顎があがっていては息をつかえず、声帯に頼った声になってしまうというのです。

解剖図を参考に息の遣い方を考えてみました。ひそひそ話をしたときの声帯はほとんど閉じてかろうじて後方が開いています。このとき息はいっきに声帯を振るわすことなく、徐々に上方へ抜けていくことになります。

声帯に息をまわさずに

そして、喉頭の上方、軟口蓋が閉じていますと、息は鼻にまわりません。息は上顎(うわあご)から後方に導かれ、咽の奥で響きます。このときの響きが中音と呼ばれるのだそうです。これより上で響く音は、上音(高音)と呼ばれ、子どもの声としてつかわれるということでした。

確かに、姿勢を正して顎を引いたときに発する中音は、いつもの声より音階が高く感じられます。これが私の自然な声(地声)なのでしょう。

さて、上顎から咽の奥に響いた音を下方に逆戻りさせるとなると、私にとって容易ではありません。咽の後壁から脊柱前面に沿って身体の下方へと導くことになるのですが、このとき根を張ることが必要だというのです。音の響きを導く膜が張るということなのでしょうか。それによって胸郭が共鳴箱のように鳴り響くことになることが想像できます。実際、山村庸子先生の胸から響いてくる音響のすごさは、大きなスピーカから響いてくる音響のようでもありました。

能の世界では、安定して横に広がっていくことが特徴なのです。それは欧米の縦に伸びる文化と対照的です。能舞台で山村庸子先生がたたずむ姿は、まさに富士山の裾野が横広がりにひろがる美しさでした。これが日本の美なのです。

私たちは先ず立ち方から学ばなければなりません。
山村庸子先生が指導してくれた方法は、私が患者さんに教えている方法と同じでした。それは先ずつま先で立ってもらって、安定したところで静かに身体を沈めてもらうのです。たいてい患者さんは後ろ体重がかかっていますので、姿勢を正しく立たせたときには、かなり前傾した立ち方の印象をもつため、患者さん本人が驚かれます。

さて、ここでニュートラルな状態で立ってもらってから、膝を緩めてわずかに屈曲位でお臍を下に向けるような気持ちで、いくぶん骨盤帯を前傾します。すると、腰仙関節部に負荷がかかったような感じが出ます。これで腰が入った状態となります。
腰が入るという身体感覚は今の若い方々には分からないかも知れません。私の剣術をやっている身体感覚では、下部腰椎と仙骨のところに弾力的なバネができるような感覚です。このためには、腸腰筋のはたらきが不可欠なように思えます。

そして両肩を両耳の後ろまで引き上げて、ストンと両肩を自然に落下させて緊張を除きます。私の感覚では、首から頭が逆に天に伸びるような感じにします。剣術では、両脇をしめずに、フワッと余裕をもたすのですが。

最初に述べましたが、頭の付け根を背骨に押しつけるように顎を引いて、腹式呼吸を始めます。
このとき息を溜めることがだいじですから、お腹をできるだけしぼめないようにゆっくりと、ハー・・・とできるだけ息を長くもらしていきます。もれた息を上顎に当てつつ咽の奥壁にまわすようにするわけです。

息がじゅうぶん長く吐けましたら、息を吸いたくなるわけですが、このときスッと下腹まで息を自然に取り入れます。息を吸おうとせずに、自然に入ってくることがだいじです。

ここで息に声を載せるように音を響かしてみましょう。
どうでしょうか、できますか?
私はどうしても声帯に息が行きすぎるようで長く続きません。咽頭の奥壁で響かすことができていないようです。しばらく稽古を続けて、また声の道場に出かけてみようと思っています。

息を溜めることができていないことに愕然としました。これでは居合が上手になれないわけです。息を十分に留めて、身体の内側から気を発するようにがんばってみます。息の遣い方、とてもだいじなことと感じています。

次回は、来年の2月、第2と第4土曜日の午前10時からの二時間、東中野駅から歩いて10分もかからないところにある梅若能楽学院の3階で行われます。
ぜひ関心のある方は参加されてみてはどうでしょうか。
問い合わせ申し込みは、Fax 03-3392-3267(山村庸子先生、声の道場)です。
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コメント
from: 堀本秀生   2008/11/25 9:44 AM
拝見しました。私は活元運動をしている者です。運動は、脊髄にかけられている仙骨、肩甲骨、首のロックを外します。この錐体外路系の体育に名付けをしたのは野口晴哉です。若い頃は気合の先生と呼ばれていたそうです。本人の声をテープで聞きますと、息に音が載る感じです。残してくれた著書を読みますと「日本人は腰で音を出す」とのような主旨を書いています。活元運動の前と後に必ず脊椎行気をします。それで、野口晴哉の発声は、脊髄と気合と関係があり、腰のあたりを共鳴させるのではないかと、思っていました。
長年の疑問が解けるヒントがありました。どうもありがとうございました。
from: あさのやすひと   2008/11/27 7:30 PM
いつも施術ありがとうございます(」゜□゜)」

なんか楽しそうですね・・・興味がわきます。

from: 大場 弘   2009/03/19 9:54 AM
2009年3月8日づけの朝日新聞に、山村庸子先生のことが、玄侑宗久氏のこと並んで紹介されていました。おかげで私のブログに記録的なアクセスがありました。
山村庸子先生にお会いしたときに、「ブログに書かれていることは本当ですか」と、いくつも問い合わせが山村先生のところにあったそうです。書いたことの責任の大きさを痛感しております。

ただ言葉で表現してしまうことと、実際に、息に声を載せ身体に響かす和の発声を体験してみることは、まったく次元が違うことなのでまず体験してみなければわからないことなのです。
これまでこうした発声をしてこなかった私には、新しい次元の身体運動を身につけることと同じでたいへん難しいことと感じています。でもなんとか頑張って、剣術や居合の稽古と同じように近づいてみたいと思っています。
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