Manual Medicine 大場 弘 Blog 

マニュアルメディスン(徒手医学療法)は全身をトータルに捉え身体の連関性を追求する医学です。
ここではマニュアルメディスンによる治療法や、症例などをご紹介していきたいと思います。

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脳のデフォルト・モード・ネットワーク

 

最近、脳のデフォルト・モードということばを目にしました。

 

きっかけは脳の揺らぎに関して調べているときに見つけた研究論文です。Fox MD等は脳の血流動態を反映した脳の活動をMRI画像で見ている最近の研究論文(2005)です。

The human brain is intrinsically organized into dynamic, anticorrelated functional networks.」タイトルを訳すと、「人間の脳はダイナミックな非関連性の機能ネットワークに本質的に組織化される」となるのでしょう。

なにか集中して課題をこなすときの脳の活動、認知的な精神活動ということになりますが、このとき前頭葉は後頭葉などで大脳皮質の領域の間で活動が高まります。頭を使って考えたり、なにか課題に取り組んでいるときに活動が高まる脳のネットワークが当然あるわけです。しかし、この論文に寄りますと、逆に血流が低下する他の領域のネットワークも見られ、決まって脳の活動が二分するネットワークがあるというのです。

 

大脳皮質の活動している領域に血液が余分に流れ、そうでない領域には血流は抑えられると考えるのが自然ですが、実際は複雑な様相があるようなのです。

 

認知活動に関わっていない領域のネットワークでは、むしろ休息時において揺らぐような活動が観察されるのです。認知活動に関わらない領域は、裏を返せば、脳の活動が休息しているときにその活動を増していると考えられるというのです。

 

この論文の意味するところがよくわからず、関連しそうな論文をいろいろと探してみましたらその中に、幸運にもSCIENTIFIC AMERICAN(2010)に寄稿されているMarcus E. Raichleが書いたThe Brain’s Dark Energy(脳のダーク・エネルギー)を見つけることができました。題目からして宇宙のダーク・エネルギーが連想され惹きつけられました。顕在(明在)系に対する暗在系のエネルギーというイメージにもなります。この論文は脳のデフォルト・モードに関してのこれまでの研究の流れが概観できる論文でした。

 

あまりにも専門的な論文ばかりあさっていても、木を見て森を観ずになってしまい、なにがなんだかまったく内容をつかめないままフラストレーションがたまるのですが、こうした論文に出会うことはとてもありがたいことです。

 

脳の特定の活動や刺激がなくとも、脳には揺らぐような自発的な活動が起きていることが、1924年に脳波を初めて記録したHans Berger(ハンス・ベルガー)による脳の電気的な活動から知られていました。彼は、脳が休むことなく活動していることを洞察していました。

 

ただ、そうした脳の神経活動はノイズとみなされていたのです。

1970年代後半にはポジトロン断層法 (PET: positron emission tomography) が、また1992年には fMRI (functional magnetic resonance imaging) が導入され、脳の活動が代謝活動や血流量の変化として観察できるようになってきていました。このような検査では、調べたい現象がよりはっきりわかるようにコントロールとなる条件での活動をノイズとして差し引くことが行われるのです。そのため脳のベースラインの活動は無視されていたのです。

 

ところが、コントロールの条件で活動している脳の部位を研究している過程で、コントロールの条件に脳の全エネルギーの6080%が消費されているのに対し、注意を要する課題テスト時にはエネルギー消費の増加は5%以下にしか過ぎないということを発見したのです。

さらに、視覚を例に取ると、網膜で受けた情報量を毎秒100億ビットとすると、視神経から視覚野にいたると毎秒1万ビットになってしまうことが明らかになったのです。しかも意識的に知覚できる情報量は毎秒100ビッドに過ぎないというのです。

この結果から、脳が外界の情報を受け取るためには認知的な視覚に関係する以外の領域が働いているのではないかと考えられたのです。

 

1990年代中頃に、Marcus E. Raichle等は偶然にもある発見しました。

それは声を出して本を読むなどの意識的な課題を遂行しているときに、脳のある領域に休息時のベースラインよりも低い活動がみられたというのです。たとえばそのミステリアスな領域に頭頂葉の内側部があります。

この彼らの発見は懐疑的に受けとめられ、彼らの研究論文は受理されませんでしたが、他の研究者が前頭葉の内側部に同様の領域があることを明らかにし、デフォルト・モード・ネットワークの存在が明白になったというのです。

 

デフォルト・モード・ネットワークの発見はどのような意味があるのでしょうか。(また冒頭の疑問に戻っただけのようでもありますが・・・)

 

ファンクショナル磁気共鳴画像法(fMRI画像)では、BOLD信号の時間応答特性を活用して撮影されているとあります。BOLD信号とは、血流によってもたらされる酸素の飽和濃度変化のようです。BOLD信号はだいたい脳のどこでも10秒間隔で揺らいでいるそうです。

脳の活動をきめ細かく観察するためにこの揺らぎはノイズとして削除されていました。

 

ところがこのBOLD信号のノイズとされた揺らぎが、休息時の脳の活動としてデフォルト・モード・ネットワークなどで観察されたというのです。脳の本質的な機能ネットワークの揺らぎであるとされ、ここにいたって内在的な(暗在系の)活動を行うデフォルト・モード・ネットワークへの関心が急速に高まり、その領域の地図が明らかにされていったそうです。

 

ここでまとめてみますと、外に注意を向けた認知活動に関わらないネットワークは、デフォルト・モード・ネットワーク(default mode network)と呼ばれるようになりました(Marcus E. Raichle, 2001)。このネットワークには0.1 Hzに満たない低周波がみられることなります。

 

さて、デフォルト・モード・ネットワークの役割となりますが、脳科学者の茂木健一郎があるインタビューで次のように答えています。

「脳の中には、感情や運動、記憶やイメージといった、それぞれの働きを担う部位が存在しているのですが、ディフォルト・ネットワークとは、それらをつないで束ねている中心的な役割を果たしているものと考えられます。通常、人間の脳は何かを考えている時に、より活発に活動しているものなのですが、このディフォルト・ネットワークだけは特殊で、何か特定のことに目的を定めて考えている時には活動が低下しており、反対に、何も考えていない時に活性化しているわけです。いわば脳がアイドリングしている時に、一番活発に働いているのです。このとき脳は非常に広い視野で様々な可能性につなげようとしているのです。新たな考えや気づきなど創造的であるためには、頭を空白にする時間が必要なわけです。」

 

最近では、自閉症、多動症、認知症など、ディフォルト・ネットワークの機能障害に言及する論文も多くみられるようになっているとのことです(Default network, from Wikipedia)

 

 

きっとみなさんのなかには、それじゃα波を同じなの?

瞑想しているときには、デフォルト・モード・ネットワークはどんな活動をしているのだろうと、私と同様に疑問をいだく方もいるのではないでしょうか・・・

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