Manual Medicine 大場 弘 Blog 

マニュアルメディスン(徒手医学療法)は全身をトータルに捉え身体の連関性を追求する医学です。
ここではマニュアルメディスンによる治療法や、症例などをご紹介していきたいと思います。

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原因の分からない不可解な病気
正直言って、医学的にもどうしても分からない病気というものがあります。

もう一人の自分がいるような精神状態で、正常な自分がいて得もいわれない心の状態に苦しみ、なんで自分はこうなっているのか、俺は死にたい、母親に助けてくれと泣き叫ぶ
19歳になった男の子もその例かもしれない。
 
以前、11歳のときタミフルの影響で異常行動を起こした男の子ことを、このブログで何回かとりあげたことがあります。
http://obahiroshi.jugem.jp/?search=%A5%BF%A5%DF%A5%D5%A5%EB
 
あれから何回か、冬から春にかけて異常をきたすことがあったのですが、ここ45年は異常が起こらずにいました。完治していると思っていたのですが、今年3月にまたおかしくなってしまったと親御さんに聞きました。
今回は診療の相談を受けてはいないのですが、心配になった家内が、とある埼玉のご祈祷所の霊能者を訪ねてゆきました。
 
そこには早朝から大勢の人達が集まっていて、みんな身内に不可解な病気で苦しんでいる人をかかえ、藁にもすがる気持でやって来ていると、夜遅く帰ってきた家内が話してくれました。
 
家内の話によれば、78歳のお爺ちゃんが一日中、ひとり一人の問題を即座に答えてくれていたと言います。誰か火災か水難で亡くなった方がいるはずだ、調べてみろとか、土地や墓にまつわる因縁をずばり指摘していたとのことでした。
 
上記の男の子のことで相談した家内には、焼死した身内の誰か悶え苦しんでいるはずだから調べてみろとのことでした。
男の子の母親がたの身内の事情で、詮索できないため調べようがないのですが・・・
ご祈祷を受けて帰ってきました。

 
このような話しを聞くと、まさにユングの集合的無意識の世界なのかと思ってしまいます。
 それにしてもこんな神仏に不敬な私でも、あらためて霊魂を弔うことの意義を感じてしまいます。

しかし家内に言わせると、あなたがあの席にいたら、あの78歳のお爺ちゃんにきっと罵倒されるよと言います。
 
「学のあるやつに人の心が読めるか、俺なんか無学だけどお前等よりも人を助けてんだ」と、その場に似つかない、インテリな紳士に怒鳴っていたそうで、たいそう面白がっていました。
たしかに私は頭でっかち・・・
何を言われるかわかりませんが、なんだか興味が湧いてきました。怒鳴られるのを楽しみに行ってみようかと思っています。
 
居合いで学ぶ身体感覚

身体感覚を得るためにいろいろと習っているのですが、居合いもその一つです。

刀を切り下ろしたときに両腕で脇をしっかり絞った姿勢でなくてはならないといつも師範に注意を受けていました。一連の動作のいわば最後の決めとなる切り下ろし、どうしても脇が甘い! 

どうしたら脇が締まった姿勢になるのか分からずにきました。あるとき、講習会である師範に、ちょうだいの動作で、肘を両脇に付けて手のひらを外にひらくようなものと教えられました。良いヒントを得られたので心がけてはいるのですが、かと言って刀を握ったままちょうだいの動作はできません。あいかわらず脇が甘いのがなおっていません。

最近、東京で別の師範の指導を得ることができました。その方は、肩甲骨を使いなさいと言うのです。しばらく電車の中でも肩甲骨を背骨に寄せる運動を続けていましたが、やはり切り下ろしたときの甘さが残ります。

これは身体感覚がはっきりとしていないことに気づき、余分な力を使わずに最小限の努力で理想とする姿勢になれるか、歩きながら体を揺さぶっていましたら、肘頭と肩甲骨の下角を感覚的に一点になるような感覚にすると、理想的なかたちになりそうだと閃いたのです。これでなんとかなりそうかな・・・

昨日、テレビを観ていましたら、動作分析研究を専門にしているという方が、両手でも持ち上げられない重いものも、脇を締めて体幹と脚力でいとも簡単に持ち上げられることを見せていました。

確かに脇を締めることで、肩に余分な力が入らず、ハラに力が集中し、まさに適法な姿勢になります。

それからしばらくして次に、師範が注意してきたことは、血振りの動作でした。
自分でもしっくりしていないことは自覚していたのですが、なぜか分からないままになっていました。
目の前で血振りを見せてくれたるですが、そのとおりに、真似ができないのです。

みかねて、7段の方が教えてくれたのですが、問題は手首にあったのです。本来、敬礼をするように手首と前腕はまっすぐでなければならないのですが、手首が伸展しているのが原因でした。以前、目の前の竹を切るようにという師範の言葉が頭に入っていたからなのか、妙に刃を立てたかたちになっていました。
なるほど、手首をわずかに屈曲ぎみにして、脚力の立ち上がりと同時に切り手で血振りをおこない、ハラに力を集中し止め手で締めると、剣先が倒れた敵に睨みを利かせるような攻のかたちになります。
自分でもしっくりします。

ちょっとしたクセから、理に適った動作から逸れて行ってしまっていたのでした。
伝統的に伝えてゆくべきかたちが、ほんのちょっとした身勝手なことで変容してしまってはいけない。
居合いの厳しさを教えられました。

 
身体呼吸療法を語る その9
透明な身体
 
長いこと身体呼吸療法という触診を通して観察してきたのですが、肉体な中に浸透している「透明な基質」があることが実感されます。
 
身体に触れていて感じるのはまず肉質です。触診で最初に感じられるのは緊張感のある肉質と、そうでない普通に感じられる肉質の違いです。これが左半身と右半身で緊張がきわだって違うように感じることが少なくありません。たとえば、右側の起立筋にきわだった緊張感をみることがよくあります。
 
こうした場合、緊張感が高い側に注意が行ってしまいますが、むしろ反対側に注意を払うことで、そのなかで活力のない部位あるいは縦に連なる潤いのない(虚した)ラインをみつけることができます。こうした潤いのない組織の活動性を高めるために刺激を与えるのですが(その方法はここでは省きますが)、しだいに緊張感が高まって虚から実へと緊張した肉質へと変化します。
 
よくみられることですが、左右の緊張感のある筋肉の連なりが左右で際立つように浮き上がり、右側の背筋の緊張に対して左側の頸部の緊張が前で拮抗している関係がみてとれるようになります。身体の両側でたがいに左右/前後でバランスをとりあっているラインが存在していることが想像できるのです。
 
片側で求心的に収縮している筋肉があれば、それに対抗して頭頸部を遠心的に収縮しながら頭位を傾いた状態においても維持するバランス関係が生じているのです。
 
遠心的に収縮を強いられる筋肉は、いわば引き伸ばされながら緊張を維持していますので、慢性的な状態では代わりに筋膜がそれに耐えて支持しています。頭位が傾いていた状態からニュートラルな状態へ戻るにつれて、遠心的に伸張した筋肉はしだいに求心的な収縮へと、筋肉の盛り上がりが浮き上がってくることがわかります。先ほど虚から実への変化と表現したのは、こうした事情からです。
 
 
左右で競い合うような緊張感の持続が高まりますと、それらの緊張がフッと解放されるように変化する瞬間があります。呼吸の深まりから内圧変動が高まり、緊張を解放する身体呼吸が現れるときです。この緊張が途切れるときに垣間みられるのが透明な身体なのです。比喩的な表現ですが、肉質が弛んでその開いた肉質の間隙に透明な基質が垣間みられるのです。あくまでも触れて感じ取れるものなので透明な感覚と表現しているのですが、それでもやはり透き通った透明な感覚なのです。
 
これまでこうした瞬間について、「呼吸がひらく」と表現してきたのですが、考えてみましたら、これは体液(間質液)が流動しているファッシャの層に、私の感覚が観入しているのかも知れないと思うようになりました。対象となっている身体に施術者である自己の感覚を投入して、自己と対象とが一つになってみえる実相です。
 
筋肉を包む筋膜もファッシャですが、筋線維の間にあるいわゆるスジもまたファッシャです。ファッシャについては以前に詳細に書いていますが、簡単に言えば水分を含んだ結合組織で、さまざまな組織や器官の間を充たした組織網です。このファッシャの組織網は、それが全体としていわば一つのジェル状(?)の身体のかたちを成す、体液の流動する身体を構成する組織網であるわけです。
 
身体呼吸が生じたときに感じられる透明な実相は、生命の源であるファッシャに含まれる水に由来していると閃いたしだいです。
 
経穴もこの透明な層への入り口なのかも知れません。
沈みゆく大国 アメリカ
オバマケアの現実
 
私もアメリカに留学していた時期がありましたので、医療保険を持っていない人達のたいへんさは身にしみて感じます。たとえ裕福な親であっても子どもには自分の力で大学にゆきなさいという国ですから、他人の医療費まで負担するような国民皆保険の導入には共和党からの激しい抵抗が続いていました。それがようやくオバマ大統領によってなされたわけで、オバマケアと呼ばれています。
日本の国民皆保険はだれも平等に医療を受けることにできるために、国がおこなっている保険です。ところがアメリカではこの皆保険を、国がおこなうのではなく大企業である民間の一部の保険会社に委ねてしまっているのです。国は国民全員保険に入りなさい、そうでないと罰金を課すというのです。今、アメリカでは大混乱を招いていると、一時帰国の患者さんも話してくれました。
女性のジャーナリスト(提未果Tsutsumi Mika)が書いた「沈みゆく大国 アメリカ」には驚くべき実態が書かれています。オバマケアが皆保険は資本主義における利益を最大限得るための商品となってしまっているのです。そこにリーマショックを引き起こしたサブプライムローンの仕掛け人がその制度設計に深く関わったというのです。低所得者層に貸し付けるローンへの投資を証券化され金融商品として世界中に行き渡りました。結局、住宅ローンの債権不良化という事態から世界的な経済危機をもたらしたのはつい最近のような気がします。その彼らが今度は医療の分野で巧妙に仕掛けたのです。オバマは理想を掲げて医療改革をなしたのでしょうが、その複雑な仕組みは理解していなかったのでしょう。大企業の保険会社や製薬会社からの資金とロビィストの活動によって政府は手玉にとられたのです。各自が支払うべき保険料から自己免責の額まで保険会社の思いのまま、それに薬価も製薬会社の思いのままで一粒10万円という薬まであるというのです。保険会社からの請求額を初めて見て愕然となってしまっているというのです。
また、病院サイドには医療費支払いのために課せられた請求資料作成の複雑さと、支払いを渋る保険会社との軋轢から、医療現場はたいへん混乱し、低所得者や高齢者向けの保険を制限するような事態になっているといいます。もっとも恩恵を得るはずであった無保険者だった貧困者層には、保険があっても相変わらず行き着く先はERしかなさそうなのですが・・・。
「沈みゆく大国 アメリカ」(集英社新書)を読んで、国も政治家もそれにマスコミも、大企業からの仕掛け人達によっていとも簡単に丸め込まれ、嘘はつかないまでも良いところだけしか語られていないことを改めて印象づけられました。
 
日本はこれからも国民皆保険によって守られてゆくのでしょうか。ウオールストリートの仕掛け人達は虎視眈々と日本の市場を狙っているようです。
今年度の機能神経学のご案内
平成27年度 MM機能神経学シリーズ
今年度は基礎から臨床への活用を重点としたシリーズとなります。より広範囲なネットワークから臨床症状をとらえる研修の場としたいと考えています。日程も3部構成にまとめて集中して学べられるようにしました。
 
53,4,5日 機能神経学基礎総集編
  53日 午前
 
     午後
 感覚系のネットワーク
     痛みを科学する
 表在感覚と固有感覚、その臨床的活用について
     症例研究 むずむず症候群など、Sensory Mismatchと感覚統合
  54日 午前
     午後
 運動系のネットワーク(小脳を中心に)
     運動機能を診る
 姿勢、歩行から小脳検査など機能神経学的なアプローチについて
     グローバルなネットワークから検査方法を工夫する
  55日 午前
     午後
 運動系のネットワーク(皮質-大脳基底核-中脳を中心に)
 筋トーヌス、不随意運動の理解、臨床的なアプローチ、パニック症候
 
920,21,22日 症例と臨床実技から学ぶ機能神経学(脳幹を中心に)
 920日 午前
 
      午後
 脳神経系の臨床検査1
    第1〜6脳神経の評価実技およびCase study
 大脳機能バランスを診る
        Dr. Carrickの最近の考え方から
 921日 午前
 
      午後
 脳神経系の臨床検査2
         第7〜12脳神経の評価実技およびCase study
 不定愁訴の臨床、自律神経失調
 922日 午前
 
           午後
 平衡バランス機能とその失調を診る
         眼球運動、三半規管、耳石機能の評価実技よびCase study
 めまい、ふらつきへの機能神経学的なアプローチ
 
1025日、1227日 米国で活躍中の池田奨DACNBが語る機能神経学最前線
 1025日 10:0014:30
      14:4517:45
※池田奨先生の講義は午後になります。
 シリーズ&兇里泙箸瓠塀電盛猝椶良習など)
「マニュアルセラピーが与えうる脳への影響について」
    Neuron Theoryの内容から機能神経学の臨床まで
    Hemisphericityのコンセプトに当てはまらないケース
 1227日 10:0016:30
※池田奨先生が全日講義
 10月の講義内容を踏まえ、ケース、臨床応用
 脳および神経機能を賦活する具体的な方法の紹介
参加申し込みについて:
マニュアルメディスンのホームページのお問合せからお申し込みください。
(ホームページはマニュアルメディスンと検索してください)
機↓供↓靴い困譴蘯由に選択して参加できます。
参加費は当日払いとなります。
機↓兇箸癲各36000円(MM会員および再履修者)、その他一般 42000
  掘10&12月両日の参加費):MM会員および再履修者24千円、一般3万円
2月11日 MM研修会のご案内 「頭蓋療法を中心に」
2月11日(祝水) 10:00〜16:30 日本リハビリテーション専門学校 本校舎4階にて
頭蓋療法の基礎とその発展的な臨床実技について解説します。
講師 大場 弘.

・統合された可動性のためにデザインされた頭蓋骨の縫合
・触れてなにをみているのか
・頭蓋に触れて分かること、顔面に触れて分かること
・内圧変動のゆらぎを感じとる



平成27年1月12日(月)マニュアルメディスン研修会からの報告
1月のMM研修会では、脳の活動性を眼球運動から計測し、脳の活動がクラニオパシ(頭蓋療法)の操作にてどのように変わるかみる機会となりました。その結果は脳の活動に驚くほど良好な影響をもたらしていることが実証できました。

脳のオシレーション操作と眼球運動
視運動性反射における眼振の計測から
大場弘.DACNB(米国認定機能神経学専門ドクター・オブ・カイロプラクティック)
眼球運動の制御は大脳皮質、基底核、脳幹それに小脳と中枢神経系全般に関わる高度な神経機能である。したがって眼球運動を観察することは脳の活動を覗き見る窓となり得る。脳の機能的な変調は眼球運動に影響していることが考えられる。この実験は脳のオシレーションに変化を起こすことでその影響をVNG(ビデオ式眼振計測器)で観察した。検者(施術者)は被験者の頭部(前頭部と後頭下)に接触し、脳の生理運動を内圧変動の揺らぎとして触診によって捉えた。そのときの施術者の受ける感覚は、被験者が自覚することがないままに施術者と共有でき、両者の感覚情報のフィードバックにより被験者に伝わっているものと考え、脳の活動の変化を眼球運動の変化でとらえることを試みた。
 
被験者:リハビリテーション専門学校学生、国家試験の受験勉強でハードな生活が続いているが、健康である。
施術者:大場 弘.(身体呼吸療法主宰)
 
計測方法 iPadのアプリを利用し被験者の視運動性反射を誘発し、Interacoustics社製ビデオ式眼振計測器(VNG)にて左単眼の動きを測定し記録した。
施術方法:前頭部と後頭部に両手を当てて、被験者の脳の揺らぎを感じとり、それを施術者が意識的に被験者の呼吸運動の揺らぎに重ねてゆく感覚的な操作をおこなった。
計測結果:左眼球運動を測定、上のグラフは右から左方向への眼振(急速相)、下のグラフは左から右方向への眼振を示す。
ビデオ式眼振計測器による視運動性反射


考察:視運動性反射の眼振で、緩徐相(パースート)と急速相(refixationサッケード)が驚くほどきれいに変化した。被験者の頭蓋内圧変動を介して脳のオシレーション(律動性)を感覚的に操作することで、眼球運動に関わる広汎な中枢神経系全般に影響したことが示された。徒手療法の施術は、被験者と施術者の間で接触による感覚的な情報のやりとりが行われ、そのフィードバック作用によって脳のオシレーション活動が安定していったものと考えられる。
施術前の左右の眼振を比較すると、左から右への視運動性反射がでづらいのが分かる。機能神経学的には、右小脳・左大脳のダイアキシスが推察でき、左脳の疲労が考えられる。
 
謝辞
ゼロシーセブン()の中道亮様には計測のご協力をいただき、また、こうした機会を準備していただいた日本リハビリテーション専門学校の阿部靖先生をはじめ学生さんにはお世話になりました。御礼申し上げます。
ちょっとした疑問から (最後に後日談を追記しました)
耳垢
 
ちょっと耳鳴りのことでAさんとお話をしているときに、耳鳴りのある側で湿って固くなった耳垢を耳鼻科でとってもらったという話しを聴き、耳垢は乾いたものと思っていたのでふと疑問に思うところがありウィキペディアで調べてみました。
 
耳垢が湿性か乾性かを決定するのはDNAの塩基配列の1か所の違いで本来は湿性耳垢が優性遺伝だそうなのですが、日本人では乾性耳垢の方が圧倒的に多いのだそうです。耳垢が湿るのは、耳の中にあるアポクリン腺から分泌される汗が原因ということです。
 
アポクリン腺といえば『わきが』と関係しているわけですが、アポクリン腺の分泌は動物では求愛に関わるフェロモンとなっているといわれています。(それがなぜ耳の中にも?)
 
外気温の急激な変化や、精神的に興奮や緊張をした場合には、アポクリン腺の活動が刺激されるそうですが、アポクリン腺は一度分泌されるとまる一日は分泌されないそうです。ほとんどの人はそれなりにアポクリン腺からの分泌があることになりますが、湿性の耳垢がたまることはありません。
 
私自身、耳垢は乾いたものという認識があったのですが、乾性耳垢ということは正しくなく、一般に耳垢と思っているものは耳壁の表皮や外部の埃だというのです(長崎大学研究グループの報告、2006)。 耳垢が湿性か乾性かというのは皮膚の性質に関わるとあります。しかも、外耳道の皮膚は鼓膜がある内側から外側へと移動するようにできていて、普通、奥に耳垢はたまることはなく、外方に移動してくるのだそうです。
たしかに耳掃除をしなくてもそれで耳垢でいっぱいになってしまうということはなかったので、お風呂で、ぬれタオルで耳の外側を拭いているだけで充分ということなのでしょう。
 
さて、先ほどの患者Aさんの問題を考えてみますと・・・、めまい感はありませんが耳鳴りがあるというのです。耳鼻科で診てもらって右耳の奥で耳垢がひどく湿って固くなっていたというのは、右側でアポクリン腺の活動が高まっていたことになるのでしょうか。そして機能神経学的にどのように考えることができるのでしょうか。
 
ヒトの汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺の2種類がありますが、エクリン腺は進化した汗腺と考えられ毛と結びついていないのに対し、アポクリン腺は退化した汗腺と考えられ毛と結びついています。そして、ヒトの汗腺はほとんどがエクリン腺で、アポクリン腺は腋の下などに残っているのみです。なぜヒトでエクリン腺が進化してきたかというと、どうも発汗によって体温を下げる効率が大きく、毛の退化とともに発達してきたようです。テキストには、汗腺は交感神経支配でコリン作動性とありますが、これはエクリン腺への神経支配です。アポクリン腺のほうはアドレナリン作動性(交感神経の節後神経から伝達物質として出るのはノルアドレナリンであるがアドレナリン作動性と呼ばれています)とされているようです。
また瞳孔散大筋もアドレナリン作動性です。そうしますと、瞳孔の大きさを左右比較して見ておくべきだったと反省しています。交感神経系が右側で亢進していたかどうか判断材料が増えたわけです。
 
身体呼吸でみたのですが、右顔面から触れられる動きがすっきりしません。うっ滞感があると表現したらいいのか・・・、あのうっ滞感は、右側の交感神経亢進に由来していたのかどうか・・・

後日談
翌週、Aさん、こんどは腰を曲げて来られました。
長旅で列車に長時間座っていたため、腰がまた痛くなったと言います。
もともと慢性的な坐骨神経痛で苦しんできた方なのですが、以前のような状況ではなくなっているのですが、ときどきこうしてこうして腰や臀部の痛みを発症してしまうことがあります。

腰の治療をかねて、先回、見逃していた自律神経の様子を治療の後に確認させてもらいました。
下の裏の静脈、舌下静脈は右側の太くなっていました。瞳孔をみますと、ありました!瞳孔不同が。左側が右に比べて明らかに縮瞳していて、右側が散瞳ぎみです。施術中に右の鼻の通りがわるいように感じられていました。

先回感じられた右側顔面のうっ滞感は右交感神経の亢進によるものと、その可能性が高まりました。

今回の腰痛は、左側の起立筋の緊張が明らかに高まっていましたので、右側の腸腰筋の緊張を弛めるところから始めて、バランスをとってゆきました。脊椎へのアクティベーターでの刺激は上部胸椎の棘突起のみ左で刺激を与えました。アクティベーターでの刺激については、フェースブックのマニュアルメディスン研究会で参考にしてください。

身体の呼吸が落ち着き、そのまま身体呼吸療法で腰部の律動性を高め、鬱血した血液の環流をはかり施術を終えました。
上記の自律神経の状況から、自律神経のバランスはとれてはいませんでしたが、また来られたときに確認し神経系のバランスをはかることにしました。

 
マニュアルメディスン研修会のご案内
11月3日と12月21日のそれぞれ一日セミナー(10am〜17pm)のご案内です。
11月3日は、徒手療法の実技を大場が披露いたします。12月21日は下記の三名の先生方が優れた実技を披露してくれます。
会場は日本リハビリテーション専門学校となっていますが、11月3日は本校舎にて、12月21日はイセビル校舎でおこないます。
朝10時に始まりますのでそれまでいらしてください。あらかじめ参加申し込みをいただけますとたすかりますが、当日参加でもだいじょうぶです。 連絡先は、hotline@manual-medicine-jp.org.

11月3日 大場徒手療法の実技解説:軸骨格系の臨床問題(脊柱管の鬱血による神経症状しびれや痛み、等々)を中心に
静脈の鬱血は、機能神経学的にはヘミスフェリシティ(大脳皮質機能低下)による交感神経の緊張から生じると考えています。身体呼吸療法では横隔膜の動きによって静脈灌流を促す方法を考えていますので、今回のテーマの一つにとりあげたいと思っています。
会場は日本リハビリテーション専門学校の本校でおこないます。
 
12月21日 
治療の名人
発見! 全国から選りすぐりの臨床家の実技披露 
1221日 日本リハビリテーション専門学校 イセビル校舎
実技を披露してくれる先生(敬称略) これぞ名人の臨床実技 その実技を目の当たりにお見せします。
 大上 剛史(大阪) 脊椎とリンクした全身各部位の連動性を発見! さらに、同じ骨変位の治療でも、刺激を入れる側によって、全身レベルで考えると真逆の挙動になることも明らかにしました。
 一柳 実(愛知県) 関節のハイパーモビリティの考察;関節は弛めるのではなく締めることも大切。関節は締めてこそ安定し、施術後にまた痛みが再発するというようなことがなくなる。
 室井秀夫(福島県) 痛み解消だけでなく、身体能力を向上させてこそ施術ではないか! 患者さんに応じてそれぞれに、施術すべき必須のポイントがある。それをどう見つけるかに懸かっている。
会場の地図はネットでご確認ください。
イセビル校舎
http://www.nitiriha.com/about_school_facilities

 参加費 20,000
 Time tableはだいたい下記のようになっております。
10:00−12:00 大上先生
13:00−15:00 室井先生
15:15−17:15 一柳先生
17;15−17:30 まとめ 大場先生
17:30       終了
 

 
身体呼吸療法を語る その8
東洋医学からの発想

夜が明ける早朝、夢うつつのなかで、肝と脾の違いについてあれこれと発想があったのですが、今こうして文字にしようとしているとなかなか思い出せません。

 
疑問をもったきっかけは、脈診で左右の肝と脾の脈からなにを読み取れるだろうと、このところ関心をもっていたからでした。左右の手首で腕橈骨動脈にそれぞれ三本の指腹をあてて脈をみる六部定位の寸、関、尺という部位の中央の脈(関)です。
 
たしか脾のはたらきについて、今朝おぼろげに浮かんだことだったはずですが・・・
 
脾は外界から栄養となるものを摂取し、自分の身体をつくってゆくはたらきですから、生理学的には代謝作用・異化作用になります。
 
少し想い出してきました。
 
肝は結合組織という身体的な基盤をもってはたらいているのですが、脾は消化器官を超越したところではたらいているということを思いついていたのでした。

生理学的なはたらきとなりますと、細胞の中でのはたらきにもなります。すなわち分子的なレベルでのはたらきとなりますから、感覚的にとらえることができないところと思えてきます。

肝は身体的なレベルでとらえることができますが、脾は内部環境に関わってくるという発想になっていました。
 
ここで、脾と肺の関係を考えてみたときに、内部環境としては血液中の水素イオン濃度(pH)と関わってくることが想像できます。さらにひろげて考えてみますと、さまざまなイオン(カルシウム、カリウム等々)の電解質濃度とも関連してきます。

夢うつつに、独特の組織的な質感について想い浮かんでいたことが思い出されました。
 
ここで身体呼吸療法でどのようにとらえていいかと考えてみますと。
患者さんによっては、身体呼吸では質的な変換(転換)を経て身体の深部へとひろがってゆく過程で、さまざまな質感をもった抵抗感にであいます。たいていは密度の濃い硬さと表現できるのですが、なかには、弾力性や粘性のある質感であったり、湿った感じの組織のひろがりであったりします。こうした細胞組織の環境がこうした質感としてとらえているような気がしてきます。身体の内部環境をとらえている質感になるのかも知れません。


脾のはたらきについて、身体呼吸療法で感じられる質感からみてゆくことで、臨床に活用できる発想が生まれてくるような気がしています。
 
夢うつつのなかでの考えていたことがこのようなことだったのだろうと想い出すことができました。
身体呼吸療法を語る その7
東洋医学の発想から
 
肺と肝、脾、そして腎のはたらきが起こる場
−間質−
 
「肺」は呼吸のはたらきにもっとも関連していますが、そのもとには腎のはたらきがあります。身体呼吸療法でいえば、腎は原初的な呼吸リズムに関わっていますが、身体の呼吸となって外界に開いたはたらきとなりますと、肺のはたらきになります。
 
肺を「土(脾)」から結晶化されたものとして膜としてみなしますと、膜のはたらきが肺のはたらきになります。膜としてもっとも外側にある皮膚は、汗を蒸散し身体を覆い外邪の侵入を防いでいます。外界から隔離する一方、刺激(エネルギー、情報)を受けて外界と交流する開かれたはたらきをもしています。
 
神経の感覚器のはたらきや、粘膜の分泌機能も肺のはたらきということになります。発生学的にみますと、外胚葉から分化した皮膚と神経系にそのはたらきをあてはめることもできます。もっとも深いところにある中枢神経系と表層の皮膚とが機能的につながっているところからも、肺と腎のはたらきも表裏の関係にあるといえます。
 
また、膜といったときに医学的なところで組織学的にみますと、間(あいだ)にあるものという意味で、間質と一体にあります。間質interstitiumとは、臓器の内部や外側あるいは臓器の間のすきまを埋めている結合組織のことをさします。東洋医学における肝にあたるのではないでしょうか。
 
結合組織には、密性結合組織と疎性結合組織がありますが、とりわけ、隙間の空いたという意味での疎性結合組織は、全身を統合する臓器と言えるかも知れません。なぜなら実質細胞parenchymal cellsや循環系・リンパ系を包含し、これらを支えるフレームワークとなっているからです。この間質のなかみである細胞外マトリックスextracellular matrix (ECM)と言われるスペースは、コラーゲンの線維網が三次元的なスペースをかたちづくっています。皮膚で言えば上皮細胞の実質細胞が接着する基底膜basement membraneの足場となり、微小血管系の血管床にもなっています。まさに東洋医学でいう「肝は血を蔵す」とあるように、全身の循環機能(血液の配分)すなわち血流の調節、体温の調節と絡んできます。
 
ところで、血は脾に由来します。血のはたらきは、身体のさまざまな機能を物質的な側面(栄養)から支えています。
 
そして間質には微小血管系内の血流に加えて、毛細血管―間質液―組織細胞間の間質液の流れ、そしてリンパ系への流れも含まれます。これらは東洋医学における津液にあたります。もともとは腎に由来するものです。
 
間質液は、毛細血管から滲みでた血漿がさまざまな栄養を細胞に潤し、その間質液の流れは代謝産物をも取り除いてゆきます。結合組織線維(ファッシャ)の間隙を流動する間質液の成分は、濃度は異なりますが海水の組成と似ているところがあるようです。しかも間質液の中にはさまざまな栄養素や、細胞から排出された老廃物が含まれています。こうした間質液はリンパ系に流れ込み、フィルターにかけられてから、静脈系へと還流されてゆきます。
 
こうした体液の循環の主目的が生体内部環境の維持、すなわち全身の各組織細胞に対する生活物質の供給と代謝産物の除去にあることを考えますと、微小循環系と関連する間質液の流れがあるこの結合組織の間質こそ、まさに生命の本質的な役割をする場と言えるでしょう。それにここにはマクロファージをはじめとした免疫細胞があり、生体の防衛システムとしての役割もあるのです。
 
このようにみてきますと、間質という場は、肺-肝-脾-腎のはたらきがすべて起きているといえます。また心のはたらきは肝に反映しますので、肺は心を被っているともいえます。
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